給水装置工事主任技術者試験でよく出る計算問題を反復練習しましょう。
計算問題は必ず得点しなければ、合格できませんので、問題集や過去問を使って、解けるまで練習します。
わからない場合は、過去の記事を読み返して、公式を確認しましょう。
問題
次の図に示す給水装置において、D点の余裕水頭を求めなさい。
ただし、計算にあたってA~D間の給水管の摩擦損失水頭、分水栓、甲型止水栓、水道メーター及び給水栓の損失水頭は考慮するが、管の口径変更及び曲による損失水頭は考慮しないものとする。
また、損失水頭などは図1~3を使用して求めるものとし、計算に用いる数値条件は次のとおりとする。
- A点における配水管の水圧は、水頭として20m
- 給水栓の使用量は0.5L/秒
- 給水管の口径はA~B間は25mm、B~D間は20mm
- 分水栓、甲型止水栓及び水道メーターの口径は25mm、給水栓の口径は20mm
- A~B間の水平距離L1=35.0m、B~C間の水平距離L2=8.2m
- C~D間の垂直距離H=2.8m

問題1

図1

図2

図3
解答
まずは公式を確認します。
直管の摩擦損失の計算式
hf=i・(L+Le)/1000
hf:直管の摩擦損失水頭(m)
i :動水勾配(‰)
L :直管の長さ(m)
Le:直管換算長(m)
給水栓の余裕水頭を求めるには、配水管の水圧から、すべての損失水頭と摩擦損失と高さを引いた残りの水圧が答えになります。
順番に確認していきましょう。
配水管内の水圧はh=20m
甲型止水栓、分水栓、メーターの損失水頭は図を確認し、流量Q=0.5L/秒と、口径25mmの交差する点から、損失水頭を確認します。
画質が悪いので見にくいですが、
甲型止水栓=0.50m
分水栓=0.20m
メーター=0.8m
表からは正確な数字を読み取るのは難しいので、おおよそでも大丈夫です。
次に直管です。
口径毎に区間を分けてまとめます。
動水勾配はウエストン公式を見て確認します。
流量(L/秒) | 管径 | 動水勾配(‰) | 直管の長さ(m) | |
区間A~B | 0.5 | 25 | 68 | 35.0 |
区間B~D | 0.5 | 20 | 180 | 8.2+2.8 |
次にA~Dの摩擦損失水頭を計算します。
公式を確認しながら何の数字がどこに入るか確認しましょう。
[st-mybox title=”A~B区間の計算” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
hf = 68 ✕ 35 / 1000 = 2.38(m)
[/st-mybox]
[st-mybox title=”B~D” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
hf = 180 ✕ (8.2 + 2.8) / 1000 = 1.98(m)
[/st-mybox]
hf = 2.38 + 1.98 ≒ 4.36(m)
A~D間の動水勾配は 4.36(m)
次に余裕水頭を計算します。
余裕水頭は、配水管内の水圧から器具の損失水頭、動水勾配、管の延長、配水管と給水栓の高低差を引けば求められます。
余裕水頭の公式
hα = h ー ( h分 + h止 + hメ + hL + hf + h給 ) ー h0
hα :配余裕水頭
h :配水管内の水圧
h分 :分水栓の損失水頭
h止 :止水栓の損失水頭
hメ :メーターの損失水頭
hL :曲がりや口径縮小などの損失水頭
hf :直管の摩擦損失水頭
h給 :給水栓の損失水頭
h0 :配水管から給水栓までの立ち上がり高さ
この公式に数値を当てはめていきます。
[st-mybox title=”余裕水頭の計算” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
hα = 20 ー ( 0.2 + 0.5 + 0.8 + 0 + 4.36 + 1.2 ) ー 2.8
= 10.14(m)
[/st-mybox]
答え 10.14(m)
まとめ
他の記事で解説していない公式もでてきたので、難しかったと思います。
実際、実務でもどうやって計算しようか?というのはよくあることで、考える力が必要です。
考え方に慣れないと、難しいので、最初はサッと流し見して構いませんので、次はもう少し詳しく読んでみようとか、解いてみようという気持ちが大切です。
この計算問題だけでなく、他の計算も試験にはでますので、理解できるまで読み返して、繰り返しチャレンジしてみてください。
[st-midasibox title=”給水装置工事主任技術者試験に必要な計算知識” fontawesome=”” bordercolor=”” color=”” bgcolor=”” borderwidth=”” borderradius=”” titleweight=”bold”]
[/st-midasibox]
水道申請なんてものをやっていると、だいたい「これくらいならこの口径でいいでしょ」と、わかってくるものの、実際に計算するとなると面倒だったりします。
しかし、一旦口径を決めて取出したあとに、やっぱり足りない!ってことになってしまったら大惨事です。
給水装置工事主任技術者試験でも、出題頻度が高い分野ですから、ぜひやり方を覚えていってください。
口径決定の基本事項
給水管の口径は計画使用水量を十分に供給できるもので、かつ、経済性も考慮した合理的な大きさとしなければなりません。
また、計画使用水量に総損失水頭を足した数字が配水管の計画最小動水圧以下にしなければなりません。
アパートやマンションではより高い場所に給水することになりますから、本管の水圧以上の給水は出来ない事になります。
また、世帯数が多く使用水量が多くなれば、流速も早くなり、より大口径が必要になります。
集合住宅以外でも、水理計算をしなければいけないケースもあります。
例えば、地方や田舎にはΦ50の本管でまかなっている地域があります。
そんな地域で数十世帯の開発や造成がある場合はどうすればいいでしょうか?
既存の50ミリ管でまかなえるのか?
それともより大口径の管を延長するのか?
延長するなら口径はいくつが最適なのか?
これらを水理計算によって導き出し、口径を決定していくわけです。
口径決定の計算手順
給水装置計画論の核心である水理計算を実際に行っていきます。
口径決定とは、”水理計算で決定されるもの”ということです。
- 流量(計画使用水量)を算出する
- それぞれの口径を仮定する
- 給水装置の末端から水理計算を行い、各分岐点での所要水頭を求める
- 同じ分岐点からの分岐路において、それぞれの所要水頭を求め、その最大値が分岐点の所要水頭とする
- 配水管(本管)から分岐する箇所での所要水頭が、配水管の計画最小動水圧の水頭以下に口径を決定する
この、計画最小動水圧とは、0.25Mpaであることが一般的だと思います。
地域によって違うところもあるかもしれません。
また、一定の場合は0.30Mpaとする時もあります。
この場合は増圧猶予などの特殊な給水方法が可能です。
許容動水勾配
許容動水勾配は次の式で求められます。
許容動水勾配
i:許容動水勾配(‰)
h:配水管内の水頭(m)
h0:配水管から給水栓までの垂直高さ(m)
hα:余裕水頭(m)
L:直管長(m)
Le:水栓、メーターなどの直管換算長(m)
例題
図-1に示す給水装置において、A~B間の最低限必要な給水管口径を求めなさい。
ただし、A~B間の口径は同一で、損失水頭は給水管の損失水頭と総給水用具の損失水頭とし、給水管の流量と動水勾配の関係は図-2を用い、管の曲による損失水頭は考慮しない。
また、計算に用いる数値条件は次の通りとする。
- 配水管水圧は0.2Mpa
- 使用水量は24リットル/分
- 余裕水頭は8.0m
- 総給水用具による損失水頭の直管換算長は38m

図-1

図-2
解答
まずは、流量から同時使用水量を求めますが、今回は1栓で24リットル/分と言っていますから、ウェストン公式に合わせて秒に直します。
24リットル/分 ÷ 60 = 0.4リットル/秒
次に許容動水勾配の公式に数値を当てはめます。
i:許容動水勾配(‰)
h:配水管内の水頭(m)=0.2Mpa?
h0:配水管から給水栓までの垂直高さ(m)=4.0m
hα:余裕水頭(m)=8.0m
L:直管長(m)=18.0m
Le:水栓、メーターなどの直管換算長(m)=38m
配水管内の水頭は、1Mpa=100mに相当します。
L = 0.2 ✕ 100 = 20m
と、なります。
直管長は横も縦もすべて足します。
これで、数字は揃ったので、公式に当てはめて計算していきます。
i = 20 ー 4.0 ー 8 / 18 + 38 ✕ 1,000 ≒ 143‰
わかりましたか?
分数がわからないならこうしましょう。
i = 20 ー 4.0 ー 8 ÷ 18 + 38 ✕ 1,000 ≒ 143‰
i = 8 ÷ 56 ✕ 1,000 ≒ 143‰
次に、ウェストン公式の表から、143‰と、流量0.4リットル/秒の交点を見ます。
許容動水勾配と流量の交点が口径となりますが、今回は適切な口径が存在しません。
この場合、一般的に許容動水勾配以下になる口径にすれば足りますから、Φ20が適切となります。
また、ウィーターハンマーを防止するために、流速(v)を2m/秒以下になる口径としなければなりません。
今回は、Φ20にすれば、流速は約1.4m/秒になりますから、求める口径は20mmが正解です。
解答 20mm
まとめ
問題は理解できましたか?
最初は慣れないので、手間取ってしまうかも知れません。
しかもこのウェストン公式の表は初めて見る、ということもあれば、知っていたけどどう使うかわからないということもあると思います。
給水装置工事主任技術者試験では必ず1問くる可能性が高いので、しっかり理解しておきましょう。
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動水勾配の計算はそんなに難しいものではありません。
むしろ、流量・流速・管の断面積の計算のほうがよくわからなくなる時があります。
流速の計算は実務でも頻繁に使いますので、ここでぜひ理解して覚えましょう。
給水装置工事主任技術者試験対策では必須項目です。
直結直圧式の動水勾配線図を理解しよう
よくこんな図を見たことありませんか?
配水管から分岐した水は、分水栓、止水栓、水道メーターなどの障害物を経由して給水栓、いわば蛇口から吐水されます。
このとき、給水管の摩擦抵抗や、各種栓類の抵抗によって、水圧が失われていきます。
つまり、管内を流れるだけでも摩擦で水圧が落ちるし、メーターなどの障害物でも圧力が減っていき、蛇口から水が出る時に水圧が0になってはいけませんよっていうことです。
分岐するときの口径の算定は、”分岐部分から、末端の給水栓までの動水勾配を求め、末端の給水栓から給水可能な口径”を求めることです。
動水勾配を求める計算
動水勾配を実際に計算していきます。
わかりやすく計算方法を解説していきますが、それでもわからなかった場合は、また後日改めて眺めてみてください。
慣れるとわかることもあります。
動水勾配の公式
i:動水勾配
hf:直管の摩擦損失水頭
L:直管の長さ
Le:直管換算延長
要約すると、動水勾配を計算するには、直管の長さと換算延長を足したものを、摩擦損失水頭で割って1,000を掛ければ良いということになります。
例題
配管の長さ20mに対して、損失水頭が1mであった時の動水勾配を求めなさい。
ただし、、直管換算長は考慮しないものとする。
解答
動水勾配の公式に当てはめます。
i = 損失水頭が1m ÷ (管の長さが20m + 換算長は0) ✕ 1,000 = 50‰
先に( )を計算します。
分数が苦手でわかりにくいのはわかりますが、単純に上を下で÷だけです。
1を20で割ればいいだけなので、0.05になります。
電卓で1÷20を計算してみてください。
0.05に1,000を掛ければ、50になりますから、答えは50‰となります。
解答 50‰(パーミル)
流量計算
流量、断面積、流速の間には次の関係があります。
流量・断面積・流速
V = Q / A
A = Q / V
Q:流量
A:管の断面積
V:流速
管の断面積は、半径✕半径✕円周率で求められます。
SUSΦ50の場合
((0.049 ÷ 2)^2)✕ 3.14 = 0.001884785㎡
これが断面積になります。
例題
容量100㎥の受水槽に、口径75ミリメートルの給水管で給水する場合の所要時間を求めなさい。
ただし、給水管の管内流速は2m/秒、断面積は0.004㎡とする。
解答
まず、流量を求めましょう。
流量は、Q=A・Vですが、これだと㎥/秒になってしまうので、3,600A・Vで計算し、㎥/時にします。
Q = 3,600 ✕ 断面積は0.004 ✕ 流速は2m = 28.8㎥/時
受水槽の有効容量をv㎥、所要時間をt時とすると
t = v/Q = 100 ÷ 28.8 ≒ 3.5時間
解答 3時間30分
まとめ
計算問題は公式を覚えて、練習問題を解かないと理解するのは難しいと思います。
特に、流量、断面積、流速はなかなか整理が難しいところです。
ここまでは基本的な計算なので、慌てずじっくり理解していきましょう。
今後は過去問なども例題にして解説していきたいと思います。
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給水装置工事主任技術者試験の要となっている給水装置計画論を解説していきます。
出題数は5問で、そのうち計算問題は2~3問です。
合格最低基準は2問ですから、計算問題ができないと不合格になります。
計算は実務でも絶対使うものですから試験の問題くらいは解けるようにしておきたいところです。
ちなみに、私も最初はできませんでしが、それでもできるようになるくらい難しい計算ではありません。
基本計画
給水装置の基本計画とは、基本調査、給水方式の決定、計画使用水量の決定、給水管の口径決定があります。
給水方式の決定
給水方式には、直結式と、受水槽式、直結・受水槽併用式があります。
直結式は、配水管内の圧力を利用して給水する方法で、直圧式と増圧式があります。
直結式は断水時に給水負荷となりますから、災害、事故などで断減水時にも常に水を使うような建物には非常に不利な方法です。
例えば、飲食店や病院などでは水が止まると営業出来ない場合があります。
直結増圧式は配水管内の圧力と、増圧ポンプの圧力でさらに高いところに給水する方法です。
通常、直結直圧式の場合 地上3階程度(東京都は5階程度)までしか給水できません。
そこに増圧ポンプを設置することにより、さらに高いところまで給水できるようになります。
例えば、都庁や森タワーなどの高層ビルなど。
受水槽式は、受水槽と言うタンクに貯水し、そのタンクの水から給水する方法です。
常に給水が必要な建物や、団地などの大勢の人が住んでいるような建物に使用します。
安定して給水できるため、災害や事故にも給水が可能です。
沖縄県ではその土地柄、水不足の頻度が多いため、受水槽式が多く採用されています。
直結・受水槽併用式は、一つに建物で、直結式と受水槽式の両方を使って給水する方法です。
受水槽は衛生面から排除の方向になりつつありますので、最近はあまり目立った例がありません。
計画使用水量の決定
必ず給水の申請には1日どのくらい水を使うのか、というのを書きます。
戸建てだと1.0㎥、ワンルームでは0.4㎥など、だいたい決まってます。
計画使用水量とは給水される水量のことで、給水管口径の算定するのに必要な計画です。
計画使用水量の算出は直結式給水の場合は同時使用水量〈リットル/分〉から求められ、受水槽式給水は1日当たりの使用水量〈リットル/日〉から求められます。
同時使用水量とは
同時使用水量とは、給水栓、給湯器などの末端給水用具のうち、いくつかの末端給水用具が同時に使用された場合の使用水量のことで、瞬時の最大使用水量に相当します。
一般的に、計画使用水量は同時使用水量から求められます。
計画1日使用水量は1日当たりに給水される水量を言います。
受水槽式給水法の容量
受水槽への給水量は、受水槽の容量と、使用水量の時間的変化を考慮して決定します。
一般に1日当たりの計画使用水量を使用時間で割った水量で決めます。
計画1日使用水量の算定方法
計画1日使用水量の算定は次の式で求められます。
計画1日使用水量
Nは人数、qは建物種類別1人1日あたりの給水量〈リットル〉です。
QはN✕qで計算できるということです。
建物種類 | 単位給水量 | 使用時間 | 注記 | 有効面積あたりの人員 | 備考 |
戸建て住宅 | 200~400リットル/人 | 10 | 居住者1人当たり | 0.16人/㎡ | |
集合住宅 | 200~350リットル/人 |
受水槽の容量
受水槽の有効容量は、計画1日使用水量の0.4~0.6倍とし、次の式で求められます。
受水槽の有効容量
受水槽の有効容量は、計画1日使用水量から0.4~0.6を掛ければ算定出来ます。
例題
受水槽を用いて給水する集合住宅(2LDK100戸、3LDK50戸)の標準的な受水槽の有効容量を求めなさい。
ただし、2LDKの1戸当たりの居住人員は3人、3LDKの1戸あたりの居住人員は4人とし、使用水量は1人1日300リットルとする。
解答
まず、計画1日使用水量を計算します。
Q = N・qの公式に当てはめて行きます。
Q = (2LDK100戸 ✕ 3 + 3LDK50戸 ✕ 4) ✕ 300リットル = 150,000〈リットル/日〉
計画1日使用水量がわかったら、受水槽の有効容量を計算していきます。
V = (0.4~0.6) ✕ Q に当てはめます。
V = (0.4~0.6) ✕ 150,000〈リットル/日〉
= (60,000~90,000)リットル
リットルを㎥にするには1,000で割ります。
= (60,000~90,000) ÷ 1,000 = 60~90〈㎥〉
答え:60~90㎥
まとめ
計画1日使用水量の計算は実務でも非常によく使います。
今回は計算が苦手でも、どこに何の数字を当てはめればいいのか、わかりやすくしました。
この計算を理解できれば、次の計算も徐々に理解しやすくなります。
まずはここをしっかり理解しましょう。
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