給水装置工事主任技術者試験の要となっている給水装置計画論を解説していきます。
出題数は5問で、そのうち計算問題は2~3問です。
合格最低基準は2問ですから、計算問題ができないと不合格になります。
計算は実務でも絶対使うものですから試験の問題くらいは解けるようにしておきたいところです。
ちなみに、私も最初はできませんでしが、それでもできるようになるくらい難しい計算ではありません。
基本計画
給水装置の基本計画とは、基本調査、給水方式の決定、計画使用水量の決定、給水管の口径決定があります。
給水方式の決定
給水方式には、直結式と、受水槽式、直結・受水槽併用式があります。
直結式は、配水管内の圧力を利用して給水する方法で、直圧式と増圧式があります。
直結式は断水時に給水負荷となりますから、災害、事故などで断減水時にも常に水を使うような建物には非常に不利な方法です。
例えば、飲食店や病院などでは水が止まると営業出来ない場合があります。
直結増圧式は配水管内の圧力と、増圧ポンプの圧力でさらに高いところに給水する方法です。
通常、直結直圧式の場合 地上3階程度(東京都は5階程度)までしか給水できません。
そこに増圧ポンプを設置することにより、さらに高いところまで給水できるようになります。
例えば、都庁や森タワーなどの高層ビルなど。
受水槽式は、受水槽と言うタンクに貯水し、そのタンクの水から給水する方法です。
常に給水が必要な建物や、団地などの大勢の人が住んでいるような建物に使用します。
安定して給水できるため、災害や事故にも給水が可能です。
沖縄県ではその土地柄、水不足の頻度が多いため、受水槽式が多く採用されています。
直結・受水槽併用式は、一つに建物で、直結式と受水槽式の両方を使って給水する方法です。
受水槽は衛生面から排除の方向になりつつありますので、最近はあまり目立った例がありません。
計画使用水量の決定
必ず給水の申請には1日どのくらい水を使うのか、というのを書きます。
戸建てだと1.0㎥、ワンルームでは0.4㎥など、だいたい決まってます。
計画使用水量とは給水される水量のことで、給水管口径の算定するのに必要な計画です。
計画使用水量の算出は直結式給水の場合は同時使用水量〈リットル/分〉から求められ、受水槽式給水は1日当たりの使用水量〈リットル/日〉から求められます。
同時使用水量とは
同時使用水量とは、給水栓、給湯器などの末端給水用具のうち、いくつかの末端給水用具が同時に使用された場合の使用水量のことで、瞬時の最大使用水量に相当します。
一般的に、計画使用水量は同時使用水量から求められます。
計画1日使用水量は1日当たりに給水される水量を言います。
受水槽式給水法の容量
受水槽への給水量は、受水槽の容量と、使用水量の時間的変化を考慮して決定します。
一般に1日当たりの計画使用水量を使用時間で割った水量で決めます。
計画1日使用水量の算定方法
計画1日使用水量の算定は次の式で求められます。
計画1日使用水量
Nは人数、qは建物種類別1人1日あたりの給水量〈リットル〉です。
QはN✕qで計算できるということです。
建物種類 | 単位給水量 | 使用時間 | 注記 | 有効面積あたりの人員 | 備考 |
戸建て住宅 | 200~400リットル/人 | 10 | 居住者1人当たり | 0.16人/㎡ | |
集合住宅 | 200~350リットル/人 |
受水槽の容量
受水槽の有効容量は、計画1日使用水量の0.4~0.6倍とし、次の式で求められます。
受水槽の有効容量
受水槽の有効容量は、計画1日使用水量から0.4~0.6を掛ければ算定出来ます。
例題
受水槽を用いて給水する集合住宅(2LDK100戸、3LDK50戸)の標準的な受水槽の有効容量を求めなさい。
ただし、2LDKの1戸当たりの居住人員は3人、3LDKの1戸あたりの居住人員は4人とし、使用水量は1人1日300リットルとする。
解答
まず、計画1日使用水量を計算します。
Q = N・qの公式に当てはめて行きます。
Q = (2LDK100戸 ✕ 3 + 3LDK50戸 ✕ 4) ✕ 300リットル = 150,000〈リットル/日〉
計画1日使用水量がわかったら、受水槽の有効容量を計算していきます。
V = (0.4~0.6) ✕ Q に当てはめます。
V = (0.4~0.6) ✕ 150,000〈リットル/日〉
= (60,000~90,000)リットル
リットルを㎥にするには1,000で割ります。
= (60,000~90,000) ÷ 1,000 = 60~90〈㎥〉
答え:60~90㎥
まとめ
計画1日使用水量の計算は実務でも非常によく使います。
今回は計算が苦手でも、どこに何の数字を当てはめればいいのか、わかりやすくしました。
この計算を理解できれば、次の計算も徐々に理解しやすくなります。
まずはここをしっかり理解しましょう。