動水勾配の計算はそんなに難しいものではありません。
むしろ、流量・流速・管の断面積の計算のほうがよくわからなくなる時があります。
流速の計算は実務でも頻繁に使いますので、ここでぜひ理解して覚えましょう。
給水装置工事主任技術者試験対策では必須項目です。
直結直圧式の動水勾配線図を理解しよう
よくこんな図を見たことありませんか?
配水管から分岐した水は、分水栓、止水栓、水道メーターなどの障害物を経由して給水栓、いわば蛇口から吐水されます。
このとき、給水管の摩擦抵抗や、各種栓類の抵抗によって、水圧が失われていきます。
つまり、管内を流れるだけでも摩擦で水圧が落ちるし、メーターなどの障害物でも圧力が減っていき、蛇口から水が出る時に水圧が0になってはいけませんよっていうことです。
分岐するときの口径の算定は、”分岐部分から、末端の給水栓までの動水勾配を求め、末端の給水栓から給水可能な口径”を求めることです。
動水勾配を求める計算
動水勾配を実際に計算していきます。
わかりやすく計算方法を解説していきますが、それでもわからなかった場合は、また後日改めて眺めてみてください。
慣れるとわかることもあります。
動水勾配の公式
i:動水勾配
hf:直管の摩擦損失水頭
L:直管の長さ
Le:直管換算延長
要約すると、動水勾配を計算するには、直管の長さと換算延長を足したものを、摩擦損失水頭で割って1,000を掛ければ良いということになります。
例題
配管の長さ20mに対して、損失水頭が1mであった時の動水勾配を求めなさい。
ただし、、直管換算長は考慮しないものとする。
解答
動水勾配の公式に当てはめます。
i = 損失水頭が1m ÷ (管の長さが20m + 換算長は0) ✕ 1,000 = 50‰
先に( )を計算します。
分数が苦手でわかりにくいのはわかりますが、単純に上を下で÷だけです。
1を20で割ればいいだけなので、0.05になります。
電卓で1÷20を計算してみてください。
0.05に1,000を掛ければ、50になりますから、答えは50‰となります。
解答 50‰(パーミル)
流量計算
流量、断面積、流速の間には次の関係があります。
流量・断面積・流速
V = Q / A
A = Q / V
Q:流量
A:管の断面積
V:流速
管の断面積は、半径✕半径✕円周率で求められます。
SUSΦ50の場合
((0.049 ÷ 2)^2)✕ 3.14 = 0.001884785㎡
これが断面積になります。
例題
容量100㎥の受水槽に、口径75ミリメートルの給水管で給水する場合の所要時間を求めなさい。
ただし、給水管の管内流速は2m/秒、断面積は0.004㎡とする。
解答
まず、流量を求めましょう。
流量は、Q=A・Vですが、これだと㎥/秒になってしまうので、3,600A・Vで計算し、㎥/時にします。
Q = 3,600 ✕ 断面積は0.004 ✕ 流速は2m = 28.8㎥/時
受水槽の有効容量をv㎥、所要時間をt時とすると
t = v/Q = 100 ÷ 28.8 ≒ 3.5時間
解答 3時間30分
まとめ
計算問題は公式を覚えて、練習問題を解かないと理解するのは難しいと思います。
特に、流量、断面積、流速はなかなか整理が難しいところです。
ここまでは基本的な計算なので、慌てずじっくり理解していきましょう。
今後は過去問なども例題にして解説していきたいと思います。