水道申請なんてものをやっていると、だいたい「これくらいならこの口径でいいでしょ」と、わかってくるものの、実際に計算するとなると面倒だったりします。
しかし、一旦口径を決めて取出したあとに、やっぱり足りない!ってことになってしまったら大惨事です。
給水装置工事主任技術者試験でも、出題頻度が高い分野ですから、ぜひやり方を覚えていってください。
口径決定の基本事項
給水管の口径は計画使用水量を十分に供給できるもので、かつ、経済性も考慮した合理的な大きさとしなければなりません。
また、計画使用水量に総損失水頭を足した数字が配水管の計画最小動水圧以下にしなければなりません。
アパートやマンションではより高い場所に給水することになりますから、本管の水圧以上の給水は出来ない事になります。
また、世帯数が多く使用水量が多くなれば、流速も早くなり、より大口径が必要になります。
集合住宅以外でも、水理計算をしなければいけないケースもあります。
例えば、地方や田舎にはΦ50の本管でまかなっている地域があります。
そんな地域で数十世帯の開発や造成がある場合はどうすればいいでしょうか?
既存の50ミリ管でまかなえるのか?
それともより大口径の管を延長するのか?
延長するなら口径はいくつが最適なのか?
これらを水理計算によって導き出し、口径を決定していくわけです。
口径決定の計算手順
給水装置計画論の核心である水理計算を実際に行っていきます。
口径決定とは、”水理計算で決定されるもの”ということです。
- 流量(計画使用水量)を算出する
- それぞれの口径を仮定する
- 給水装置の末端から水理計算を行い、各分岐点での所要水頭を求める
- 同じ分岐点からの分岐路において、それぞれの所要水頭を求め、その最大値が分岐点の所要水頭とする
- 配水管(本管)から分岐する箇所での所要水頭が、配水管の計画最小動水圧の水頭以下に口径を決定する
この、計画最小動水圧とは、0.25Mpaであることが一般的だと思います。
地域によって違うところもあるかもしれません。
また、一定の場合は0.30Mpaとする時もあります。
この場合は増圧猶予などの特殊な給水方法が可能です。
許容動水勾配
許容動水勾配は次の式で求められます。
許容動水勾配
i:許容動水勾配(‰)
h:配水管内の水頭(m)
h0:配水管から給水栓までの垂直高さ(m)
hα:余裕水頭(m)
L:直管長(m)
Le:水栓、メーターなどの直管換算長(m)
例題
図-1に示す給水装置において、A~B間の最低限必要な給水管口径を求めなさい。
ただし、A~B間の口径は同一で、損失水頭は給水管の損失水頭と総給水用具の損失水頭とし、給水管の流量と動水勾配の関係は図-2を用い、管の曲による損失水頭は考慮しない。
また、計算に用いる数値条件は次の通りとする。
- 配水管水圧は0.2Mpa
- 使用水量は24リットル/分
- 余裕水頭は8.0m
- 総給水用具による損失水頭の直管換算長は38m
解答
まずは、流量から同時使用水量を求めますが、今回は1栓で24リットル/分と言っていますから、ウェストン公式に合わせて秒に直します。
24リットル/分 ÷ 60 = 0.4リットル/秒
次に許容動水勾配の公式に数値を当てはめます。
i:許容動水勾配(‰)
h:配水管内の水頭(m)=0.2Mpa?
h0:配水管から給水栓までの垂直高さ(m)=4.0m
hα:余裕水頭(m)=8.0m
L:直管長(m)=18.0m
Le:水栓、メーターなどの直管換算長(m)=38m
配水管内の水頭は、1Mpa=100mに相当します。
L = 0.2 ✕ 100 = 20m
と、なります。
直管長は横も縦もすべて足します。
これで、数字は揃ったので、公式に当てはめて計算していきます。
i = 20 ー 4.0 ー 8 / 18 + 38 ✕ 1,000 ≒ 143‰
わかりましたか?
分数がわからないならこうしましょう。
i = 20 ー 4.0 ー 8 ÷ 18 + 38 ✕ 1,000 ≒ 143‰
i = 8 ÷ 56 ✕ 1,000 ≒ 143‰
次に、ウェストン公式の表から、143‰と、流量0.4リットル/秒の交点を見ます。
許容動水勾配と流量の交点が口径となりますが、今回は適切な口径が存在しません。
この場合、一般的に許容動水勾配以下になる口径にすれば足りますから、Φ20が適切となります。
また、ウィーターハンマーを防止するために、流速(v)を2m/秒以下になる口径としなければなりません。
今回は、Φ20にすれば、流速は約1.4m/秒になりますから、求める口径は20mmが正解です。
解答 20mm
まとめ
問題は理解できましたか?
最初は慣れないので、手間取ってしまうかも知れません。
しかもこのウェストン公式の表は初めて見る、ということもあれば、知っていたけどどう使うかわからないということもあると思います。
給水装置工事主任技術者試験では必ず1問くる可能性が高いので、しっかり理解しておきましょう。